
お客様からの手紙
私たち「アイウェア メビウス」のオープンは1992年。
おかげさまで、今年で30周年を迎えました。
走り続けていたら、いつの間にか長い時間が過ぎていたというのが実感。
山あり谷あり、あっという間の30年間でした。
メビウスが最初にお店を開いたのは宮益坂沿い。
その後数年で、いまの公園通りの一角へと移ってきました。
お店から見える渋谷の街は、この30年の間、たえず変わり続けています。
窓のむこうにトレンドが見える場所にいるお店をかまえていることは、
アイウェアショップとして「何を変えるべきか/変えずにいるべきか」を
自分たちに問い続けることを、助けてくれているようにも思います。
人生の〝相棒〟~この一本のしあわせ~
眼鏡との付き合いも長くなった、もう40年になる。眼鏡なんてスポーツにも旅行にも不便、必要なければ楽だろう、必要ないならそれに越したことはないのかもしれない。だけど、どうせ使うのなら個性の一部として楽しみたいと思い、あちらこちら歩き何本も換えてみたが、どうもしっくりこない。
そんな〝眼鏡遍歴〞の末にようやく出合った一本、それを掛け続けてもう20年だ。
40度を超す炎天下で、零下20度の極寒の中で、サバンナを疾走するヌーの群れを、天空に揺れるオーロラを、ときには飛び交う砲弾の中を逃げ惑う人々を…。この眼鏡を通して、様々な人や情景を見てきた。
いつの間にか、単なる道具ではなく、人生の〝相棒〞になってしまった感がある。
フレームの一部は劣化して細くなり、塗装もあちらこちら剥げてきた。「もう限界ですよ」と苦笑されるが、あれこれ注文を付けて手を入れてもらい使い続けている。売り上げにもならず手間暇だけのかかる厄介な客なんだろうなぁと思いつつ、一本の眼鏡をずっと面倒みてくれるホスピタリティは有り難い。
安価で機能もデザインもそこそこ、そんなモノがいっぱいある時代、気楽に毎年買い換えて楽しむこともできる。でも、気に入ったひとつをボロボロ、クタクタになるまで手放したくないものもある。そんな一本に出合えたのは嬉しいし、しあわせなんだろう。
海外からの突然の電話驚くような依頼を受けて
思いがけないお電話をいただいたのは東南アジアの国からでした。意識不明に陥る大きな事故に遭われて、やっと意識が戻ったけれど、事故でメガネが壊れて困っていらっしゃるとのこと。なんとか自分に合うメガネを送ってほしいというお話でした。
通常のオーダーとは全く違う状況ですが、こういうときにお客さまの力になるのは当然のことだと思いました。それでお顔の写真を送っていただけるようお願いしたんです。そこにこれぞというメガネの写真をPCソフトで合成してイメージをつくり、コミュニケーションさせていただいて。ソフトでの合成は、普段オーダーメガネで行う手法。それが生きました。そうして決めたメガネに、カルテから同じ度数のレンズを入れてお送りしたのがもう20年以上前。
そのメガネを気に入っていただいて、いまも使い続けていらしっしゃる。メガネ店にとっては〝儲からない客〟? とんでもないです。そんな状況から頼っていただいたこと自体が、私たちにとってはかけがえのない価値です。お仕事の話や、ゆかりの深い東南アジアの国々の話など、いろんなお話を聞かせていただきながら、ずっといいお付き合いをさせていただいています。